
宮崎県の日向市漁協所属のマグロ漁船。中国軍艦が侵入した海域で操業する船も多い(鹿児島大の佐々木貴文氏提供)【拡大】
宮崎の船団はこの海を避け、屋久島・種子島周辺でマグロはえ縄漁を営むようになった。その近くに今回、中国の軍艦が現れた。
宮崎県漁連幹部は「もちろん、中国の領海侵犯は防いでもらいたい。中国による脅威が高まることで、尖閣周辺と同じように、はえ縄が切断されることも増えるだろう。漁業に支障がでかねない」と懸念する。
尖閣周辺の漁業に詳しい鹿児島大水産学部の佐々木貴文助教(水産政策論)は「中国公船の脅威や台湾漁船との競合で、宮崎や長崎の漁船団は東シナ海から鹿児島沖に漁場を移した。こうした競合海域から離れた場所での今回の中国艦艇の侵入は、漁業者にとって、のどの奥深くにトゲが刺さったような不安を感じているだろう」と語った。
防衛省によると、15日午前3時半ごろ、口(くちの)永(え)良(ら)部(ぶ)島西の領海を南東に進む中国海軍の情報収集艦1隻を、海上自衛隊の哨戒機が、確認した。軍艦は午前5時ごろ、屋久島南方海域から領海を出たという。