国際通貨基金(IMF)は英国が欧州連合(EU)からの離脱を決めた場合、2019年の実質国内総生産(GDP)が、残留した場合に比べて5.6%減る恐れがあるとの試算を発表した。
物やサービス、資本のやりとりが自由な単一市場のEUから離脱することで、貿易や投資が落ち込むと見込んだ。ただ、IMFは「離脱が英経済にどの程度の衝撃を与えるかは極めて不透明」ともしており、試算した以上に実質GDPが減る可能性もある。
試算によると、EUにとどまれば、実質GDPは16年から21年まで2%前後の成長が続く。離脱した場合、成長率は16年に1%程度、17年にはマイナス成長に陥る恐れがあるとしている。
離脱による成長率の低下が響き、実質GDPは16年以降、残留した場合の水準を割り込む状態が続く。18~20年は残留時と比べ5%余り少なくなることが想定され、減少幅は19年に5.6%に達する可能性がある。
英国のGDPはリーマン・ショック後の09年に4%超減少したとされる。さらに、英国が離脱を決めた場合、18年に英以外のEUの実質GDPは0.2~0.5%減少すると推計。英国を除く世界全体では最大で0.2%減ると見込んだ。
IMFは、離脱を決めた英国がEUと新たな自由貿易協定の交渉を始めたとしても、合意までに何年もかかるため「貿易の大きな障害になる」と分析した。
EU離脱の是非を問う23日の国民投票を前に、企業が投資や従業員の採用に慎重になるなど、経済への影響が出ていることも指摘した。(ワシントン 共同)