G20財務相会合閉幕 経済成長へ政策総動員 英のEU離脱は「世界経済の不確実性増す」

 【成都(中国四川省)=万福博之】中国・成都で開かれていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は24日、世界経済の成長を支えるため「金融、財政、構造改革の政策を各国が個別に総動員する」との共同声明を採択し、閉幕した。英国の欧州連合(EU)離脱については「世界経済の不確実性を増している」と指摘し、「英国とEUが緊密なパートナーである姿に期待する」と双方に協力関係の維持を呼びかけた。

 各国で低成長や格差拡大が問題となる中で台頭してきた保護主義に関しては「あらゆる形態の保護主義に対抗する」との文言を盛り込んで牽制(けんせい)した。

 市場波乱要因である中国経済への注文も盛り込まれた。「鉄鋼産業などにおける過剰生産過剰が世界的課題であると認識する」と明記。過剰設備を抱える中国が念頭に、構造問題の是正を促した。

 各地で相次ぐテロ事件については「最も強い言葉で非難する」と表明し、テロ資金対策を強化していくことで一致した。

 英国のEU離脱決定後、初となるG20会合だった。英国のEU離脱交渉の行方は不透明で、世界経済の先行きに不透明感が漂うが、声明では「積極的に対処する態勢を整えている」との協調姿勢を示した。

 一方、世界経済には離脱問題以外にも低インフレや資源安、金融市場の変動の大きさなど「下方リスクが根強く残っている」と分析。停滞の打開に向け、引き続き政策を総動員する姿勢を示し、「財政政策と同様に、構造改革の重要な役割を強調する」とした。

 為替をめぐっては「競争的な通貨の切り下げは回避する」との方針を改めて確認。麻生太郎財務相は閉幕後の記者会見で、ポンド安や人民元安が進む中、「為替市場の安定が重要と改めて確認された」と述べた。