公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は29日、2015年度の運用実績が5兆3098億円の赤字だったと発表した。赤字は5年ぶり。14年10月に株式の運用割合を増やしており、中国経済の減速に端を発した国内外の株安などが響いた。14年度末時点の株式保有銘柄なども初めて公表した。
損益の内訳は、国内外合わせた株式が6兆7346億円の赤字、債券は日本国債が値上がりしたため1兆3494億円の黒字だった。全体の収益率は3.81%のマイナスとなった。
14年10月に金利低下が続く国内債券の運用割合を60%から35%に下げ、株式の割合を約2倍の50%に引き上げた。14年度は株高の影響で約15兆円の運用収益を計上したが、15年度は裏目に出た。高橋則広理事長は29日の会見で「謙虚に受け止め、今後の運用に経験を生かしたい」と語った。
一方、市場運用を始めた01年度からの累積では45兆4239億円と高い運用益を確保した。
株式の保有銘柄は、国内ではトヨタ自動車の時価総額約1兆5499億円が最大で、国内債券は日本国債が全体の8割を占めた。外国株式は米アップルなどを保有していた。