週明け1日の米ニューヨーク原油先物相場は、供給過剰懸念が世界的に強まったことで大幅に値下がりし、一時約3カ月半ぶりに1バレル=40ドルの節目を割り込んだ。アジア市場での指標となる中東産ドバイ原油の価格も約3カ月ぶりに40ドルを割り込んだ。ガソリン安などで日本の企業や家計の負担を軽くする効果があるが、物価押し下げ圧力が強まるとデフレ脱却が難しくなる。
日銀は7月末に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2016年度の物価上昇率見通しを前年度比0.5%から0.1%へ大幅に下方修正したが、17年度の1.7%、18年度の1.9%は据え置き、2%目標の達成時期についても従来の「17年度中」を維持した。
物価見通しの前提条件となるドバイ原油の価格について、日銀は4月のリポートでは「1バレル=35ドルを出発点に18年度にかけて40ドル台後半に上昇」と想定していたが、7月のリポートで「45ドルを出発点に50ドル程度に上昇」と今後の想定価格を引き上げた。原油安が続くとシナリオに狂いが生じる恐れもある。
原油市場では「今後は30ドル台で軟調に推移する」との見方が広がっている。原油安に伴う輸入額減少は貿易収支の黒字に直結し、海外に支払うドルの需要が縮小して、円高を招きやすい。
円高と原油安は物価を下押しする効果が大きく、黒田東彦日銀総裁の任期中(18年4月まで)の2%目標達成が危うくなる。