
9月にG20首脳会議が開かれる中国浙江省の杭州市内で、爆発物など不審物の安全チェックを行ったあと、封印された植え込みの排水溝のフタ。市内ではすでに、マンホールなどあらゆる場所に黒の封印が貼り付けられており、綿密な調査が行われたようすを示している(15日、河崎真澄撮影)【拡大】
地元紙によると、杭州市当局は外国人の目に触れる可能性のある古い住宅など約900万平方メートル、違法建築約1000万平方メートルを取り壊したり、改築させたりしたほか、違法な野外広告の看板約6000枚を撤去した。
各国首脳や政府関係者らの移動をスムーズにするためとして、市当局は企業や学校を9月1日から7日まで休ませ、その代わりに週末の8月28日と9月9、10の両日に出勤や授業をさせる異例の措置も決めた。
ほかにも市中心部から半径300キロ以内の工場に8月28日から9月6日までの操業停止が命じられた。すでに当局は周辺地区で煤煙(ばいえん)を大量に出す工場を指導したもようで、微小粒子状物質PM2・5を含む大気汚染指数が8月に入り杭州市などで大幅に低下した。
だが、近郊で物流会社を経営する男性(45)は「G20が終われば違法建築や看板は元に戻り、工場から汚染物質がモクモク出る風景に逆戻りするだろう。休日を一方的に変えられるのも迷惑だ」と怒りを隠せない様子で話した。
中国は今年初めてG20議長国となり、首脳会議で習国家主席が議長を務める。その習氏にとって杭州市はかつて浙江省の党委書記などとして君臨したゆかりの地だ。メンツをかけて開催準備を進めるのはいいが、首脳会議終了後に「元のもくあみ」では逆にメンツを失うことになりかねない。