日銀の黒田東彦総裁は27日、米西部ワイオミング州ジャクソンホールで講演し、2月に導入したマイナス金利政策について、下限までには「まだかなりの距離がある」と説明し、必要に応じて深掘りする考えを強くにじませた。日銀が28日に講演の概要を発表した。
黒田総裁は、マイナス金利の導入で「長期・超長期の国債金利は大幅に低下した」と指摘。その結果、「企業の長期資金需要や家計の住宅ローン資金需要が刺激され、(お金の)幅広い借り入れ主体に恩恵を与えている」と効果を披露した。とくに、超長期社債の発行が増えたのは「新しい動き」と強調した。
日銀のマイナス金利は、銀行から預かるお金(当座預金)の一部に事実上0.1%の手数料を課す仕組みだ。このため、マイナス金利を深掘りし過ぎると、銀行は当座預金からお金を引き出し、現金の保有を増やし始めるとの見方が多い。黒田総裁も「中央銀行がいくらでも望み通りのマイナスの水準に金利を引き下げられることを意味しているわけではない」と認めたが、マイナス金利幅はまだ0.1%と小さく、限界には到達していないとの考えを改めて示した。
さらに、2%物価目標の早期実現に向けて、「『量』『質』『金利』のいずれについても、追加(の金融)緩和の余地は十分ある」と強調した。