■産経新聞客員論説委員・五十嵐徹
日本と韓国の「通貨スワップ協定」が1年半ぶりに再締結される見通しになった。金融危機の際に互いに通貨を融通(交換)し合う仕組みだが、日韓関係の急速な冷え込みを背景に、昨年2月に打ち切られていた。
このところ両国間では、関係改善に向けた動きが活発で、その意味からは歓迎すべきだが、経緯を振り返れば、単純に喜んでばかりもいられない。入り組んだ両国関係の複雑さ、いびつさも浮かび上がってくる。
協定再開は、8月27日にソウルで行われた麻生太郎副総理兼財務相と柳一鎬・副首相兼企画財政相による「日韓財務対話」の席上、韓国側から提案されたという。
麻生財務相は、訪韓直前の24日の閣議後会見で、「向こう(韓国側)から話が出れば検討する」との見方を示していた(東京発ロイター電)。
朝日新聞によれば、通貨協定は「国際的に流通が少ない通貨が暴落した場合などに、ドルなどを融通して支援する仕組み」で、日本より韓国側のメリットがはるかに大きい。日韓間では、1997年のアジア通貨危機をきっかけに、2001年に協定がスタート。最大時は、日本が700億ドルを韓国に融通することになっていた。