
6日、米ワシントンで記者団の取材に応じる日銀の黒田総裁(共同)【拡大】
【ワシントン=小雲規生】20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が6日、米ワシントンで開かれ、先行き不透明感が広がる世界経済のなかで保護主義が拡大することへの懸念を共有した。会合では先進国で長期化している低金利状態の影響についても意見が交わされた。ただし9月に中国・杭州で首脳会合が開かれたばかりであることから、共同声明は採択せず、会議を終えた、
日本からは日銀の黒田東彦総裁と財務省の浅川雅嗣財務官が出席。浅川財務官は会合後、記者団に対して「貿易の伸びの鈍化が保護主義圧力の高まりからくるのであれば、懸念すべきだとの声が多かった」と述べた。麻生太郎財務相は国会審議のため6日のG20会合は欠席したが、7日にはルー米財務長官や国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事らと会談する。
G20会合では低金利の長期化が金融機関や年金に及ぼす影響への懸念も示される一方、低金利で資金調達できることから財政出動の余地が増すとの指摘も出た。さらにテロ資金や脱税の温床となっているペーパー会社などの実質的な所有者を特定するための取り組みについても協議された。
世界経済は年明け以降の金融市場の混乱からは脱したが、「低すぎる成長が長く続きすぎて、ほとんどの人々に恩恵がもたらされていない」(ラガルド氏)状態が続き、成長力回復の難しさも浮き彫りになっている。