B to Bのビジネスが95%である同社は、5%のB to Cに殊の外、エネルギーを注いでいるのだ。
一般消費者向けに「ペトラ」というブランドをデザインされたパッケージで販売している。小麦粉という、どこのメーカーであるかさほど消費者が注意を払わないジャンルの製品に、「顔をつけた」。
ただ、ぼくが感心する点はここではない。「ピッツァ大学」という2006年にスタートしたプロジェクトである。
ピッツァという料理を多方面の講師が教授する。テクノロジー、医学、料理、店舗経営、コミュニケーションといった分野であり、名の知れた食ジャーナリストやソムリエも参加する。
質の高いピッツァを世の中に広めるのが目的であるが、ピッツァ職人の質の向上だけが直接のターゲットではない。素人にも教える。この趣旨がふるっている。
「世の中にはピッツア世界チャンピオンを掲げたピッツァ屋がたくさんある。が、多くはイタリア料理を代表したピッツァとは言い難い。単なるアイデアの競い合いだ。グルメが新しいと称するピッツァは、表面に珍しい具がのっているだけだ。大切なのは有名なピッツァ職人の手によるピッツァかどうかではない。
我々の狙いは、市場で味も経済的にも正当な評価を受けるレベルのピッツァとは何かをはっきりさせ、消費者がピッツァ職人に意見を示すことができる道筋を用意することだ」
上記は彼らのサイトの文章を一部要約した。挑戦的だ。一見すると消費者団体の宣言文かと見間違える。