次に「人民元安の落とし穴」。人民元は10月1日に国際通貨基金(IMF)の仮想通貨である特別引き出し権(SDR)に正式に組み込まれたが、国慶節(建国記念日)連休明けの10日以降、中国当局は元の買い支えは不要になるとの思惑も強まり、市場では元売りドル買いがなお優勢だ。
一方で元安の輸出への恩恵は限定的。米国の利上げ観測もあり、元安を嫌った海外への資本流出や外貨準備高の減少傾向が中国経済をむしばむ恐れがある。
そして「権力闘争の落とし穴」もある。共産党が重要人事を決める5年に1度の党大会を来年に控え、党や政府、国有企業で「人事の季節」が始まった。国有企業の構造改革を含む経済政策の立案や実施などは停滞気味。習近平国家主席と李克強首相の間で火花が散る権力闘争が、経済政策のブレにつながっている。