財務省が24日発表した2016年度上期(4~9月)の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は2兆4580億円の黒字だった。円高と原油安で輸入額が大幅に減ったため、半期では2期連続の黒字を確保。黒字額は、期間中に東日本大震災が発生した10年度下期(2兆6億円)を上回った。ただ輸出の減少額も大きく、貿易黒字が続くかは見通せない。
輸出額は前年同期比9.9%減の34兆209億円で、リーマン・ショック後の09年度上期(36.4%減)以来7年ぶりの下落幅となった。米国や中東向けの自動車、台湾向けの鉄鋼の伸び悩みが影響しアジア向け(11.1%減)や米国向け(10.6%減)が大幅に減少した。一方、火力発電の燃料用などで膨らんだ原油、液化天然ガス(LNG)の調達額が価格下落で抑えられ輸入額は19.1%減の31兆5630億円だった。
同時に発表した9月の貿易収支は4983億円の黒字となった。米国や欧州連合(EU)向けの自動車部品の輸出が大幅に改善したことなどで、2カ月ぶりの黒字を達成した。
明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは「低迷していた輸出は底を打った感がある」と分析。今後については「主力の米国向けの自動車輸出が回復したことで、輸出は持ち直すだろう」と予想する。
ただ、16年度上期は、輸入に頼る原油価格が前年同期比で約4割下落した効果が大きい。主要産油国の減産協議が進展し原油価格が上昇すれば、原油安の恩恵が薄れることは必至だ。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の日米の議会承認のもたつきが、各国の保護貿易主義を高める可能性もあり、世界貿易全体の停滞も懸念される。