国税局査察部“通称マルサ”の強制調査 100年以上続いた「夜は禁止」を改正へ (2/2ページ)

2016.10.29 16:14

脱税の国際化・巧妙化に対応

 一方、近年はタックスヘイブン(租税回避地)を活用するなど脱税事件が国境を越え、巧妙化している。証拠となる情報も手紙や会計書類などから、メールやネットワーク上の文書などに変わりつつある。

 国犯法は電子データの押収について明確な規定がなく、これまでデータの入ったパソコンや運営会社のサーバー自体を差し押さえたうえで、査察官が被疑者やサーバー運営会社などから任意でデータを提出してもらっていた。

 ただ、被疑者側に提出を拒否されたり、運営会社の業務妨害になったりするケースなどがあったため、電子メールやネット上の情報を強制的に押収できるよう法整備に取り組む。

 租税回避地の節税実態を暴露した「パナマ文書」問題を受け、各国は国境を越えた課税逃れを防ぐための情報交換などに取り組んでいる。日本としても海外当局から情報提供を求められた場合の環境整備につなげる。

「不公平感を防ぐ」

 財務省と国税庁はこうした国犯法改正の方向性を政府・与党に示し、平成29年度税制改正大綱に盛り込みたい考えだ。大幅改正は昭和23年以来になる。

 脱税調査の“現代化”と同時に、情報通信技術(ICT)の進展に対応した納税手続きの電子化なども進める方針で、財務省の担当者は「遅れている部分を追いつかせ、将来を見据えた内容にしたい」と強調する。

 債務危機に陥ったギリシャ政府のように徴税強化は財政再建の手段の1つとされる。

 日本の財政悪化が続く中、査察官の権限強化につながる法改正も同様の狙いがあるようにみえるが、財務省は「強制調査は年間190件程度で、直接的に税収増にはつながらない」と打ち明ける。

 証拠調べなど事務手続きも膨大であり、むしろ悪質で巨額な脱税を刑事告発することで、「国民が不公平感を抱かないようにする」ことが目的という。多国籍企業や富裕層の課税逃れ、格差の拡大が世界的に問題になる中、査察官の責任は重くなっている。(田村龍彦)

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