10日の東京市場で円安・株高が進んだことで、政府内には安心感が広がった。ただ、米大統領選で勝利したドナルド・トランプ氏は日本が輸出を増やすために為替操作を行っていると批判してきただけに、日本政府が円高を抑えるための市場介入に踏み切るのは難しく、今後、対応に苦慮する場面も想定される。
「(トランプ氏の)共和党の政策が無難だと気づいたのではないか。市場はもう落ち着いている」
財務省幹部は10日、東京市場が円が急騰した9日と打って変わって円安ドル高で推移したことに胸をなで下ろした。
トランプ氏は減税や公共投資を打ち出しており「新政権が公約を積極的に実現して米景気が上向けば日本にもメリットがある」(財務省関係者)との声も少なくない。
一方、トランプ氏は政治経験がなく、選挙戦で訴えたような保護主義的な志向に走れば世界経済の不確実性は高まる。投資家がリスク回避の動きを強め、円高が進めば輸出企業などの業績が悪化し、力強さを欠く日本経済に打撃を与えかねない。
政府はこれまで過度な円高には市場介入も辞さない構えをみせてきた。ただ、米財務省は日本を為替政策の「監視対象」に指定するなどして、日本へ牽制(けんせい)を繰り返した。
またトランプ氏は「(米建機大手)キャタピラーはコマツと競争するのが円安で難しくなっている」と、日本が為替操作で輸出を促していると主張するなど、為替にはより強硬な姿勢をみせていた。
麻生太郎財務相は10日の参院財政金融委員会で「介入はよほどのことがないと差し控えないといけない」と述べた。