オバマ米大統領とメルケル独首相が貿易協定推進で共同寄稿 トランプ氏に反論

 【ベルリン=宮下日出男】オバマ米大統領とドイツのメルケル首相は16日、独経済誌ウィルツシャフツウォッヘ(電子版)への共同寄稿で「共通の価値に沿ったルールに基づく協定は今後数十年、われわれの成長を助ける」とし、米国と欧州連合(EU)が交渉中の自由貿易協定(FTA)実現に向けて尽力する意向を示した。

 トランプ次期米大統領は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や各国・地域とのFTAは「米国内の雇用に悪影響を及ぼす」として反対の姿勢。米国とEUの「環大西洋貿易投資協定(TTIP)」の交渉の行方も危ぶまれる中、両首脳はトランプ氏の主張に真っ向から反論した形だ。

 両首脳は「貿易と投資は生活水準を向上させる」として、自由貿易が互いの国民にもたらす利益を強調。世界の保護主義的傾向が懸念される現状を「分岐点」とし、欧米の価値に従ったグローバル化実現のため、「われわれには市民や企業に対し、協力を拡大し、深化させる義務がある」と訴えた。