配偶者控除は現行制度を維持すべきだ。政府・与党は、女性の就労促進のために103万円以下としている配偶者の年収要件の引き上げを検討しているが、150万円以下に引き上げても、社会保険料の負担が発生する「130万円の壁」が問題になる。
配偶者控除は専業主婦以外に、自営業者の妻や、病気の夫の代わりに妻が稼ぐ場合も利用できるセーフティーネット機能がある。その機能の強化に重点を置くべきだ。
さらに、年収要件を引き上げた場合に夫の収入に上限が設けられれば、負担増を避けるため、家計の消費が減る恐れもある。
現在、年間約10万人が介護のために離職しており、その8割は女性。女性の就労促進には、特別養護老人ホームの充実に加え、保育園不足で子供を預けられず働けない女性のための育児環境の整備が不可欠だ。