しかし、インフラ投資や法人、個人への減税を大盤振る舞いするなら、短期的には金利上昇の打撃を相殺し、さらにプラス効果を上乗せすることが可能だ。
また、ドル高なら物価上昇圧力を抑止する効果も併せ持ち、物価高による中低所得者の不満増大も、短期的には目立たない可能性がある。
市場では大幅な円安進展を見ている参加者は少数のようだ。しかし、トランポノミクスによるパワーは、市場の「ゲームチェンジ」をもたらし始めており、米次期政権の財政政策が明らかになれば、財政出動と米利上げの相乗効果で120円台に乗せることも可能性ゼロとはいえなくなってきた。
その時は、ガソリンを含む輸入原材料が値上がりし、コスト上昇を価格転嫁しにくい中小企業から「悲鳴」が出ることも予想される。そうなると、政府は円安進展を「黙視」できなくなるのではないか。足元のドル110円、米長期金利2.3%で相場が折り返すという「ぬるい」インパクトを想定していると、トランプ効果の大きな反作用に衝撃を受けることにもなりかねない。
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【プロフィル】田巻一彦
たまき・かずひこ ロイターニュースエディター。慶大卒。毎日新聞経済部を経てロイター副編集長、コラムニストからニュースエディター。57歳。東京都出身。