イタリア国民投票 レンツィ首相「完敗だ」と辞意 EU金融不安の可能性も (1/2ページ)

 【ローマ=宮下日出男】イタリアで憲法改正の是非を問うため4日に実施された国民投票は即日開票された。中間集計によると、反対が59・5%に対し、賛成は40・5%となり、憲法改正は否決される見通しとなった。レンツィ首相(41)は5日未明、記者会見で「完敗だ。私は敗北の責任をとる」と述べ、辞意を表明した。

 国民投票は同国の改革に取り組むレンツィ氏への信任投票との位置づけられた。英国の欧州連合(EU)離脱決定やトランプ次期米大統領の選出を受け、既存政治に反発する大衆迎合主義(ポピュリズム)的な勢力の勢いを測る機会として注視されていた。

 レンツィ氏は5日にマッタレッタ大統領に辞意を伝達する。大統領は各党と協議の上、新首相を指名し、次回総選挙までの暫定内閣の発足を模索するとみられる。2018年に予定されている総選挙が前倒しされる可能性もある。

 憲法改正は下院と同等の権限を持つ上院の権限を縮小し、不安定な政治の要因とされる制度を改善することが目的。だが、レンツィ氏が進退をかけると発言したことで信任投票とされ、既存政治を批判する「五つ星運動」など主要野党が倒閣を目指し、反対運動を展開していた。