日露首脳・長門会談 保たれた絆 安倍・プーチン両氏、一時は破綻寸前 (4/5ページ)

2016.12.16 07:20

大統領特別機で山口宇部空港に降り立ち、岸田文雄外相(右)の出迎えを受けるロシアのプーチン大統領=15日午後、山口県宇部市(代表撮影)
大統領特別機で山口宇部空港に降り立ち、岸田文雄外相(右)の出迎えを受けるロシアのプーチン大統領=15日午後、山口県宇部市(代表撮影)【拡大】

 日本にとっても、軍事的拡大を続ける中国を牽制(けんせい)する上で、ロシアとの関係強化は欠かせない。安倍-プーチンの信頼関係はそんな打算の上に成立している面は否定できない。

 ところが、11月の米大統領選でドナルド・トランプが勝利したことは大きな不確定要素となった。トランプはオバマ政権の外交・内政ともに真っ向から否定しており、ロシアとの関係改善に動く可能性がある。ロシアと太いパイプを持つ米石油大手、エクソンモービル会長兼最高経営責任者(CEO)のレックス・ティラーソンの起用を決めたことも「関係改善に向けたサインだ」とも言われる。

 そうなると、ロシアにとって日露関係強化の意味合いは薄れる。プーチンが「領土問題は存在しない」と断じるようになったのも無関係ではあるまい。

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 「安倍、プーチンの関係は、森喜朗が首相だった頃とは大きく異なる。細い割り箸の上で首脳が会談しているようなものだ」

 日露関係に詳しい外交筋はこう断じた。安倍、プーチンの信頼関係だけが頼みの綱となっており、外務省など事務レベルの積み上げがないという意味だ。

 そもそも日本の対露交渉は、日ソ共同宣言に署名した昭和31(1956)年以降、日本の内政事情に左右されてきた。

 平成13(2001)年3月、森とプーチンはイルクーツク声明を出し、日露交渉はようやく動き出したかに見えたが、翌月に森は首相退陣に追い込まれた。代わって首相となった小泉純一郎が、外相に起用した田中真紀子は「北方四島一括即時返還以外は認められない」と言い出し、それまでの10年以上も積み上げた交渉は水泡に帰した。

「平和条約締結交渉は日本のせいで中断した」という指摘は一理ある

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