ベトナム、経済成長も貧富の格差拡大

2016.12.19 05:00

 1975年のベトナム戦争終結により南北統一を果たしたベトナムは当初、旧ソ連型の社会主義国建設を目指した。

 だが極端な計画経済の導入で経済は低迷、カンボジアや中国との戦争の影響も加わり国民は困窮。苦境を打開するため共産党が86年12月の党大会で打ち出したのが「ドイモイ(刷新)」だ。

 市場経済の導入や対外開放を柱とするドイモイにより「最貧国レベル」(世界銀行)だった経済は好転。今世紀に入ってからも平均6%を超える安定成長を続け、日本の中小企業の間では海外進出希望先のトップに挙げられる。

 外交面でも95年に東南アジア諸国連合(ASEAN)、2007年に世界貿易機関(WTO)への加盟を実現。ベトナム戦争で敵国だった米国など資本主義諸国との関係も深めている。

 共産党や政府は一党支配を堅持しつつ、非党員の国会議員を認めるなど政治改革を同時に進めているが、「経済の改革に比べ、政治のドイモイは不十分」(研究者)と指摘される。体制変革の恐れがあると見なされる政治活動や言論は厳重に規制されたままだ。

 一方、経済発展に伴い、首都ハノイや南部の商都ホーチミンを中心に生活レベルが急速に向上。富裕層や中間層も出現しているが、山間部の少数民族などは依然貧困に苦しんでおり、貧富の格差の拡大が深刻化している。(ハノイ 共同)

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