東電に再編や統合急がせる 改革委員会が提言まとめ、「実質国有化」は延長

 経済産業省は20日、東京電力の経営改革や福島第1原発(1F)の廃炉、賠償問題を検討する「東電改革・1F問題委員会」(東電委員会)を開き、原発や送配電事業で他の電力会社との再編や統合を急ぐことなどを盛り込んだ提言をまとめた。柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を前提に収益力改善を進め、廃炉や賠償など原発事故に関する事業は国が関与する「実質国有化」を延長する。

 東電は提言に沿って、来年春までに再建計画「新総合特別事業計画」を抜本的に改定する予定だ。広瀬直己社長は会合後、「かなり大きな金額を確保しなければならない。(再編や統合など)大きな話も進めながらしっかりと達成していきたい」と述べた。

 提言では、送配電事業は再編や統合を目指し、平成29年から他電力との協議を始め、32年以降に将来的な統合を見据えた「共同事業体」を設立するとした。東電改革がもたらす消費者へのメリットも明記。東電が取り組むコスト削減や収益拡大策が電力産業全体に広がることで、消費者の利益につながるとした。

 第1原発の廃炉や賠償などの費用は、計約22兆円に倍増する見通しで、東電として約16兆円を負担する。現行計画では29年4月から国の東電への関与を徐々に減らす予定だったが、負担拡大を踏まえ、廃炉や賠償などの関連を「福島事業」として分離し、関与を続ける。

 発電や小売りなどの「経済事業」は早期に自立させ、事故処理費用の負担に備え収益力を高めるため、再編や統合を加速させる。

 委員会は今後も継続し、東電改革を監視する。委員を務める日本商工会議所の三村明夫会頭は「改革の方向性は評価できるが、あとは実行できるか。これから半年が重要な改革の初動期で、委員会としても後押しをしたい」と話した。