トランプ次期米大統領が20日に就任するのに伴い、オバマ大統領に政治任用された各国駐在の大使は例外なく任地を離れる。キャロライン・ケネディ駐日米大使も含まれ、10日には皇居で天皇、皇后両陛下に離任の挨拶を行う。
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ケネディ氏は政治・行政経験こそなかったものの、米民主党内に影響力を持つ。それだけに平成25年11月の大使就任前後は日本政府側からは「オバマ政権中枢と直接コンタクトを取れる意味は大きい」(外務省幹部)と期待が高まった。
この期待を裏切ったのが、同年12月に安倍晋三首相が靖国神社に参拝した際の米大使館による「失望している」との声明だった。大使館側は声明発表がホワイトハウスの意向であると説明したため、ケネディ氏とワシントンのパイプに疑問を持つ声も上がった。
だが、時間がたつにつれ日米両政府の間で調整を行う手腕に評価が高まった。特に沖縄県の米軍基地問題では、安全保障上の措置が日本の国内事情に左右されることを嫌がる米軍や米政府に対し、ケネディ氏が日本政府の立場を代弁した。
沖縄県の米軍北部訓練場(東村など)の返還条件だったヘリコプター離着陸帯移設工事では、昨年7月の参院選への影響を避けるため、工事再開の先送りを働きかけた。最新鋭F22戦闘機の嘉手納基地(嘉手納町など)展開を昨年1月の宜野湾市長選後に遅らせるよう動いたのもケネディ氏だったとされる。