トランプ米新大統領は、安全保障や通商で自国の利益を最優先に行動する「米国第一主義」を鮮明に主張してきた。オバマ政権に比べてロシアとの協調を重視し、南シナ海進出や貿易不均衡で中国に強い姿勢を取ることは確実だが、日本を含む同盟国にとり、ワシントンの政策立案者の間で合言葉のようになっている「アンプレディクタビリティー」(予測不可能性)の霧は晴れない。
トランプ氏が新政権で重視するのはテロ対策と雇用創出だ。2つの最優先課題に沿って具体策が導き出されるとみられ、米国が長年維持してきた外交方針も見直しの対象となる。
就任式に先だって欧米メディアのインタビューに応じたトランプ氏は、米紙ウォールストリート・ジャーナルに「中国とは良好な関係を持ちたいが貿易が非常にうまくいっていないので容易ではないだろう」と述べるとともに、「一つの中国」原則も交渉材料に貿易不均衡の是正を目指す考えを強調した。
トランプ氏が指名したティラーソン国務長官候補は、上院の指名承認公聴会で中国が南シナ海の軍事拠点化を中止しなければ、人工島への接近を認めない考え方を示唆。新政権が鮮明にした対中強硬路線に中国は強く反発している。