「日本では米国車の関税はゼロなのに…」 トランプ氏の対日貿易「不公平」批判に日本メーカー困惑

2017.1.24 18:55


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  • フォード社が工場建設を断念した予定地で警備をする男性=1月4日、メキシコのサン・ルイス・歩年近郊(AP)
  • フォードのマーク・フィールズ社長の視察の際、拍手をする工場の労働者。フォードはドナルド・トランプ米大統領の「メキシコ製の乗用車に関税をかける」との「恫喝」に屈した形だ=1月3日、米ミシガン州フラットロック(AP)

 トランプ米大統領が日本との自動車貿易を不公平と批判したことに対し、日本の自動車メーカーには戸惑いが広がる。日本からの対米自動車輸出には2・5%の関税が課せられる半面、米国からの対日輸出の関税は既にゼロで、やり玉に挙げられる根拠に乏しいからだ。

 「日本では米国の自動車に関税がまったくかからない。関税以外の部分でも日本車と何ら差別的な取り扱いはしていない」。世耕弘成経済産業相は24日の記者会見でトランプ氏の批判にこう反論した。

 23日に米国の企業経営者と会談したトランプ氏は、不公正貿易の例として日本の自動車市場に言及し、日本側に対応を迫る考えを表明した。批判の念頭にあるとみられるのが米国の対日自動車輸出の少なさだ。

 日本の財務省の貿易統計によると、2015年の米国から日本への自動車輸出額は約900億円。これに対し、日本から米国への輸出額は約4兆3千億円と圧倒的な差があるためだ。

 日本の自動車メーカーは米国向けにデザインを改良したり燃費を良くしたりするなど、現地で受け入れられるよう努力を重ね、販売を伸ばしてきた。これに対し米自動車メーカーの対日向けは日本の道路事情に適さない燃費に劣る中・大型車が中心。きめ細かい製品開発力の差が両国の自動車輸出の格差につながっている側面が大きく、「時代遅れ」のトランプ氏の批判にどう対処するかが焦点だ。(今井裕治)

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