未来投資会議に臨む(右から)安倍晋三首相、石原伸晃経済再生担当相ら=27日午後、首相官邸【拡大】
安倍晋三首相は27日開かれた政府の未来投資会議で、社外取締役の活用をはじめとする企業統治(コーポレートガバナンス)強化に向けた制度整備を進めるよう、関係閣僚に指示した。企業の「稼ぐ力」を高め、日本経済の成長力底上げを狙う。また会議では、6月に策定を目指す成長戦略に向けた議論の中間まとめも行い、イノベーション(技術革新)の社会普及加速を戦略の軸にするとした。
安倍首相の指示は、未来投資会議メンバーの提言を踏まえて行われた。
提言では、日本企業は売上高営業利益率(ROS)が欧米より劣り、収益力が低迷していると指摘。企業戦略に他社での経営経験を生かせるよう「社外取締役や社外中心の指名委員会の活用など、取締役会の機能強化が必要」とした。
このほか、社長OBが相談役や顧問に就任する慣行を見直し、現経営陣への影響を排除すべきだと指摘。事業再編をより簡単にする制度導入も求めた。
中間まとめでは、新成長戦略にこうした企業改革案も盛り込むとした。戦略の中心に据えるのは、人工知能(AI)など最先端技術と従来技術の組み合わせで利便性を高めた社会「ソサエティー5.0」の実現。個人の状態に応じた治療を可能にするデータ利活用基盤の構築などを掲げた。