
スティーブン・ムニューチン氏(AP=共同)【拡大】
【ワシントン=小雲規生】ムニューチン米財務長官は21日、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事と電話会談し、「IMFが加盟国の為替政策を率直かつ公平に分析することを期待している」と述べた。トランプ大統領は中国や日本が通貨安誘導で輸出を後押ししているとしており、IMFにも厳正な対処を求めた形だ。
米財務省がムニューチン氏の発言要旨を発表した。米国はIMFへの出資比率が首位で約17%の投票権を持ち、IMFの意思決定に強い影響力を持っている。
ムニューチン氏はラガルド氏に対して、トランプ政権が米国の経済成長や雇用拡大を重視していることも強調。「国際的な貿易関係の不均衡」の問題に取り組むよう促した。
トランプ氏は1月31日、中国や日本を名指しして、為替操作を行ってきたと批判。選挙戦で公約した製造業の復活を実現するには、他国による為替相場への介入を止めさせることで米国の輸出競争力を高めることが重要だと主張してきた。ムニューチン氏はこうしたトランプ氏の意向を踏まえ、IMFに協力を求めたものとみられる。
IMFは2015年に「人民元はもはや過小評価されていない」として、中国が人民元安を誘導しているとの見方を否定。16年10月には中国の人民元をドル、円、ユーロ、ポンドと並ぶ特別引き出し権(SDR)の構成通貨に追加し、国際通貨としてのお墨付きを与えている。