
麻生太郎財務相【拡大】
麻生太郎財務相は22日の衆院財務金融委員会で、インフレを引き起こして国の借金の一部を解消すべきだと主張する米プリンストン大のクリストファー・シムズ教授の理論について「『いいじゃないか』と、いい加減なことを言うのが出てくる」とこの理論に同調する考え方を牽制(けんせい)し、財政健全化の取り組みの重要性を強調した。
政府は、主に税収で政策的な経費をどれだけ賄えるかを示す基礎的財政収支を2020年度に黒字化する目標を掲げており、麻生氏は「達成を目指して頑張る」と語った。民進党の前原誠司氏に対する答弁。
ノーベル経済学賞学者であるシムズ氏の理論は、財政政策が物価水準を主導的に決定するというもの。日本では最近、安倍晋三首相の経済ブレーンで内閣官房参与の浜田宏一・米エール大名誉教授が評価するなど、注目を集めている。一方、日銀の黒田東彦総裁は14日の衆院予算委員会で、シムズ氏の理論について、「いろんな前提を置かなければならない」と慎重な姿勢を示した。その上で、物価水準の決定は「金融政策が非常に重要な要素であることに変わりない」との認識を示していた。