RCEP会合が神戸で開幕 米国の焦り誘いたい日本、日米協議前の合意に慎重

 日本や中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国など16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の事務レベル交渉会合が27日、神戸市で始まった。トランプ米政権の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)離脱決定後の初の会合とあって、交渉を加速させ自由貿易体制の推進をアピールしたい構え。ただ、日米経済対話を控えた日本では拙速な合意に慎重な声もある。

 議長を務めるインドネシアのイマン・パンバギョ商業省総局長は会合で「神戸での交渉は今後の成果を占う重要なものだ」と指摘した。

 TPPの発効が絶望的な状況になり、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉も難航するなか、RCEPは妥結の可能性が比較的高い巨大自由貿易協定(メガFTA)として注目が高まっている。

 RCEPは域内の人口が34億人と世界の過半数を占め、国内総生産(GDP)ベースでも3割に上る。人口8億人、世界のGDPの4割を担うTPPと比べても遜色のない巨大市場だ。

 経済産業研究所の川崎研一コンサルティングフェローの試算によると、RCEPで域内の関税が全て撤廃され、規制などの非関税障壁も5割削減された場合、日本のGDPを2.8%押し上げる経済効果がある。

 米国が抜けたアジア太平洋地域で通商交渉の主導権を握りたい中国、インドなどは新興国が参加しやすい緩やかな市場開放で早期の合意を目指す。

 一方、日本は95%の関税を撤廃するTPPを参考に高レベルの自由化を主張する。RCEPをTPPに近づけて米国の焦りを誘い、TPP離脱を翻意させたい狙い。4月にも始まる日米の経済対話で米側の思惑を探るため、RCEPの合意判断は「日米協議を見極めてからでも遅くない」(経済官庁幹部)と指摘する。(田辺裕晶)