中国全人代の閉幕式で国歌斉唱する代表ら=15日、北京の人民大会堂(共同)【拡大】
【北京=三塚聖平】15日に閉幕した全人代では、大気汚染対策や電話料金の引き下げなど一般市民の生活環境改善につながる政策が多く打ち出された。今秋、5年に1度の中国共産党大会を控え、社会混乱回避が欠かせず、習近平指導部は市民の不満解消に躍起だ。
全人代では昨年に続き大気汚染改善を中心とした環境対策への取り組みが重点的に打ち出された。暖房などでの石炭利用の削減や再生可能エネルギーの導入促進、車両の排ガス規制強化などを2017年に進める。微小粒子状物質「PM2.5」を含む深刻な大気汚染に市民の不満が高まっていることに応えた。
15日に承認された17年度予算案(1~12月)では、環境分野のほか、貧困対策、住宅事情改善に向けた施策などが盛り込まれた。
また、李克強首相は全人代初日の政府活動報告で、携帯電話の国内長距離通話料を年内に全廃する方針などを打ち出し、会場から熱烈な拍手を受けた。地方から都市部に出てきた労働者にとって、故郷に残した家族との電話は数少ない楽しみ。経済成長に陰りが見えるなか、確実に一般市民の満足を得られる施策を進める意図がうかがわれる。