
米国は中国の宇宙開発に脅威を感じている【拡大】
そもそもなぜ宇宙開発で先端をいっているイメージが浸透している米国が、中国の宇宙開発を脅威に感じる必要があるのだろうか。
まず2016年の統計を見てもらいたい。昨年、世界でもっとも多くロケットの打ち上げを行なったのは、米国と中国である。ともに22回の打ち上げを実施しており、中国は宇宙開発においてすでに米国に「追いつき」、少なくとも脅威になりつつある。もちろん数がすべてではないが、打ち上げ数を見ると、米中に次いで、ロシア(19回)、欧州(9回)、インド(7回)と続く。実施数ではもうロシアを追い越しており、2016年に4回の打ち上げを行なった日本とは大きく差がついている。
中国の宇宙開発は野心的
2003年に初めて有人宇宙飛行を成功させた中国は、近年、急速に宇宙開発を進めている。事実、2016年には、2人の宇宙飛行士が宇宙船「神舟11号」で、中国宇宙ステーションの実験モジュール「天宮2号」にドッキングして1カ月を過ごし、無事に帰還している。そして2017年にはロケットを30回打ち上げると発表しており、そうなると米国を大きく上回る可能性が出てくる。
言うまでもなく、中国の宇宙開発技術はまだ米国やロシアには追いつけていないが、欧州などにはもう近づいていると言われている。ちなみに予算だけみても、中国の約110億ドルは世界第2位だが、世界第1位である米国の年間約390億ドルには及ばない。