まさに発展中国を象徴するような急成長ぶりだが、問題はそう簡単ではない。
まずは使用者のモラルである。レンタルの基本は、元の状態で返却することだが、未返却の例が後を絶たない。私物化してしまうわけだが、ペンキで色を塗り直し、鍵を付け替えて、子供用の椅子を取り付ける。これでは盗みだ。
放置方法にも問題がある。公園の門の前に山積みされたシェアバイクは、まるで粗大ごみ収集場所のようだ。地下鉄の入り口近辺には使用後の車両が散乱し、歩行者が通行できない有り様である。途中で知り合いの車に遭遇したのだろうか、幹線道路の真ん中に放置された例もあり、交通の妨げとなっている。
中国メディアは、シェアバイクの発展には3つの部門の協力が欠かせないと提言する。使用者、運営する企業、行政などの管理部門である。使用者のモラル向上は言うまでもないが、行政と企業が連携して、違反者への罰則も含めて、管理を強化させる必要もある。
自転車シェアの成功で、今後は車やモーターバイクなどのシェアも必ず登場するだろう。
シェア経済は“道徳経済”の側面も併せ持つ。中国だけの問題ではない。シェアという新概念は、世界規模で、現代人の民度が試されている。