《中国でQRコードの利用が爆発的に増えている。欧米ではさほど普及していないのに、なぜ中国で広まっているのか。そこには火付け役とも言えるIT企業の存在が見え隠れする。[山田敏弘,ITmedia]》
携帯やスマホを使う人なら、「QRコード」を知らない人はほとんどいないだろう。
QRコードを定義すると、四角形を縦横に並べたパターンで文字や数字などのデータを記録するコードを指す。「QR」は「クイック・レスポンス」の略。もともと工場での生産管理用だったものが一般に普及した日本生まれの技術である。
QRコードは、例えば連絡先の交換やWebサイトにアクセスする時などによく使われているが、最近日本では、埼玉県入間市が、徘徊(はいかい)などの問題を抱える認知症高齢者の爪に身元確認のためにQRコードのシールを付ける試みを始めた。これが人権問題だと賛否が巻き起こったりもしたが、2017年2月から福島県郡山市も導入を開始しており、今後も利用が広がる可能性がある。
そんなQRコードだが、なぜかお隣の中国で異常なほどの人気になっており、爆発的に普及している。どこに行ってもQRコードが使われており、中国企業も公式サイトのアドレス同様にQRコードを重要視しているくらいだ。
そしてあまりの普及ぶりに、いま中国ではQRコードを狙った犯罪「QR泥棒」が問題になっている。QRコードは欧米ではさほど普及していないのに、なぜ中国で広く受け入れられ、とんでもなく利用が広がっているのか。そこには火付け役とも言えるIT企業の存在が見え隠れする。
中国の都市部でQRコードが溢れている
そもそも中国でどれほどQRコードが普及しているのか見てみたい。まず中国の都市部はどこにいってもQRコードで溢れている。名刺交換のように使われたり、IDとして使われたり、ホテルの予約などでも広く活用されている。