
臨時閣議に臨む安倍晋三首相(中央)ら閣僚=9日午後、首相官邸(斎藤良雄撮影)【拡大】
市場関係者からは「賃上げが不十分だ」との声が上がる。企業が経済の成長力に期待が持てず、資金を賃上げなどに使わずため込む傾向が強いことなどがあるとされる。
内閣府の試算によると、現在の日本経済の実力を示す潜在成長率は0.8%程度。潜在成長率は「資本」「生産性」「労働力」の3要素をフル利用して生産した場合に達成される成長率だ。
少子高齢化の進む日本では現役世代を示す労働力人口が27年時点で約6075万人と、20年で600万人減った。これは「労働力」を下押しする要因となる。
設備投資を通じた「資本」の拡大にも限界がある中、潜在成長率を高めるには「生産性」の向上がカギとなる。人材投資にはITなどで高付加価値のモノやサービスを生み出せる人を増やし、中長期的に「生産性」を高める狙いがある。
生産性が向上し、潜在成長率が高まって日本経済への成長期待が強まれば、一層の賃上げや消費拡大につながる可能性がある。(山口暢彦)