「下水道」から大地の恵み 国交省 汚泥を肥料化、農産物ブランドに本腰 (2/3ページ)

真っ赤に色づいたトマト。下水道由来の肥料により収量と食味がともに期待できる=長崎市(国土交通省提供)
真っ赤に色づいたトマト。下水道由来の肥料により収量と食味がともに期待できる=長崎市(国土交通省提供)【拡大】

  • 下水道由来の肥料を使った野菜はスーパーでも人気という=1月、佐賀市内のスーパー(国土交通省提供)

 国交省と日本土壌協会が実験したところ、下水道由来の肥料で栽培されたイチゴは、一般の化学肥料を使って栽培されたイチゴよりも収穫量が大幅に増え、糖度も高いという結果が得られた。以前は廃棄されていた汚泥の再利用で価格も抑えられ、九州地域のアスパラガス農家は、肥料代が2013年度からの2年で約3割削減された。この“実力”が評判を呼んでか、北海道岩見沢市では肥料を利用する農家が14年までの2年間で1.5倍に増え、今では利用希望者が予約待ちの状況という。

 一方、国交省が普及に向けた不安要素として挙げるのは、一般家庭のトイレなどとつながっている下水道に対し、不衛生なイメージがつきやすい点だ。人体などから排出されたリンや窒素を含む肥料は、有機物の比率が高いほか、肥料取締法に基づく商品規格も満たしているのだが、農産物は消費者の口に入るだけに、マイナスイメージが広がれば生産にダメージとなりかねない。

 イメージ戦略強化

 そこで国交省が力を入れるのはイメージ戦略の強化だ。13年度から国や自治体、下水道関連企業と連携して、一連の取り組みを「BISTRO(ビストロ)下水道」と銘打ち、下水道由来の肥料を使った農産物の食味の高さなどをアピールしている。

普及を加速

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