日欧EPA大枠合意 Q&Aでみる特徴 世界GDPの28%の巨大経済圏 TPP漂流の危機感が後押し (2/2ページ)

 Q なぜ今回はうまくいったのか

 A 英国のEU離脱やトランプ米政権の誕生で、自国の利益を最優先し貿易を制限する「保護主義」の動きが強まった。自由貿易を推進したい日欧はこうした状況に危機感を持ち、交渉を加速。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が度重なる交渉の遅延で大筋合意が後ずれした結果、米国の離脱宣言で発効の見通しが立たなくなったことも妥結を急いだ背景にある。

 Q 日本が譲歩したのか

 A 日欧双方が譲歩した。日本はEUがこだわったチーズ関税の全面撤廃は回避したが、TPPで現状維持を勝ち取ったソフトチーズを含む低関税の輸入枠を受け入れた。逆に、産業界の要望が強かったEUの日本車関税撤廃は発効7年後の実施を引き出した。

 Q 悪影響はない?

 A 安くて高品質な欧州産農産物が大量に流入すれば、国内の農家や生産者は厳しい競争を強いられる。チーズは政府が補助金を付けたり技術指導をしたりして成長産業化に力を入れていたとはいえ、“本場”の欧州産に勝てるかどうか不安視される。政府は大枠合意を受け、打撃を受ける農家が生産を続けられるよう支援策の検討に入る。

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