中国が現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を打ち出して存在感を強める中、日本が目指す日米主導の貿易秩序の構築は、トランプ米政権のTPP離脱で暗礁に乗り上げた。
TPPが瓦解すれば5年超の交渉で合意したレベルの高い貿易・投資ルールが水泡に帰す。代わりに中国主導の透明性が低い貿易秩序が地域の“標準”になる恐れがあり、日本企業にも悪影響が出かねない。
日欧EPAの大枠合意で巨大自由貿易協定の機運が再び盛り上がりつつある。11カ国が結束を固め、短期間で新たなTPP合意をまとめられるかが、アジア太平洋地域の方向性を左右しそうだ。
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■TPP11での主な見直し項目
▽バイオ医薬品などの「データ保護期間」
▽参加国内で製造した部品の使用比率を定めた「原産地規則」
▽国内総生産(GDP)の合計が全体の85%以上を占める6カ国以上の批准などを定めた「発効要件」