開通見通せぬ五輪の「大動脈」　豊洲市場への移転延期影響

　２０２０年東京五輪の開幕まで２４日であと３年となるが、準備に影を落としているのが、築地市場（東京都中央区）から豊洲市場（江東区）への移転延期だ。築地の跡地には大会の主要道路となる環状２号線を通す予定で、東京都は大会目前の２０年３月をめどに開通させる目標を今月２１日に示した。だが、市場の移転時期をめぐる築地の業界団体との協議はこれからで、見通せない状況が続く。

　環状２号線は全長約１４キロの幹線道路で、新橋－豊洲の区間が未開通。招致段階の立候補ファイルでは「大動脈」と位置付けられ選手村からメイン会場の新国立競技場までの所要時間が１５分短縮して１０分になるとした。

　都によると、小池百合子知事が昨年８月、市場移転延期を決めたことで、築地跡地にトンネルを通す計画は間に合わず、計画を変更。まず地上部道路を整備する方向で検討しているが、それでも１９年春までの市場移転が前提になるという。

　小池知事が今年６月、豊洲に追加の土壌汚染対策をして市場を移転する方針を示したことで準備は再び動きだした。都は１８年春から秋の移転を目指すが、一部の業界団体が反発しており協議は難航する可能性がある。

　築地市場の解体工事には約１年半かかるとされ、都は並行して環状２号線の整備を急ぐ。築地跡地は大会中、選手らを運ぶ車両を収容する輸送拠点とする計画で、整備には１年程度かかる見通し。いつから着工できるのかも、市場移転の時期にかかっている。