高級食材フカヒレを使ったスープは、香港の伝統的な結婚披露宴の定番メニューの一つ。子豚の丸焼きやアワビと並び、参列者が「最も楽しみ」(市民)な料理だが、フカヒレを目当てにしたサメの乱獲が国際的に問題視されているのを受け、フカヒレスープを出さない披露宴を選ぶ若者カップルが増えている。
「庶民がフカヒレを食べられるのは披露宴の時ぐらい。正直食べたい」。香港の男性会社員(42)は数年前、20代のいとこの披露宴で普通のスープが出てきて驚いたと話す。海洋生態保護に貢献でき、費用も抑えられるため「フカヒレなし披露宴」は若者の間でトレンドとなっているという。
香港はフカヒレ貿易の拠点。地元メディアによると輸入量は年々減りつつあるが、2015年は約5500トンと世界の約半分を占めた。中華レストランでは昨年、6割の披露宴でフカヒレが提供されたとの調査もある。
飲食業界などでも意識改革が進む。高級ホテル「ザ・ペニンシュラ」を展開する香港上海大酒店は、12年からフカヒレ料理の提供を停止。香港のキャセイパシフィック航空も昨年6月、フカヒレ製品の輸送を禁止した。
ただ、年配者を中心に「披露宴でフカヒレを出さないと失礼」だとの考えも根強く、世代間ギャップを埋めるのは難しそうだ。(香港 共同)