海外情勢

中国に不可欠な「米国債+α」 経常黒字縮小、迫られる収入源多様化

 この10年余りにわたり投資家は、中国が突然、保有する米国債を売却し世界市場が混乱に陥るかもしれないという不安にさいなまれてきた。中国が現在の貿易戦争において米国債の売却を短期的な武器として使うことはないだろう。それは、無責任で自滅的行為であるからだ。しかし、経常黒字が縮小する方向へ圧力が加わることにより、貿易戦争は中国に他の対外収益源を長期的に模索するよう促すだろう。その中には、より多様な対外資産を保有することでより高い投資リターンを獲得することが含まれるとみている。

 2007年のピーク時に、中国の経常黒字は国内総生産(GDP)のほぼ10%に達した。だが、これは最近ではすっかり過去のものとなっている。持続的な赤字へシフトする可能性への懸念が高まっており、そうなれば中国経済は外国資本にさらに依存することになろう。これは、複数の新興市場が抱えるアキレス腱(けん)となっている。

 貿易黒字が縮小しているものの、中国には経常黒字を維持する別の選択肢がある。収入源を多様化し、海外投資によるリターンを増やすことだ。中国の国際収支や対外資産や負債の状況を日本や米国と比較してみると、中国が今後進むべき道を暗示している。それには、金融市場のさらなる開放やイノベーション文化の醸成のほか、知的財産保護の強化などを含む制度的な変更が必要となる。

 日本の経常収支はモノの貿易に依存してきたが、観光収入や知的財産権使用料、対外直接投資・株式投資からの配当など、より多様な収入源へと移行した。

 これに比べ、中国は貿易黒字頼みとなっている。日本と米国の状況は直接投資・株式投資を中心とした対外投資が経常収支に大きく寄与できることを示している。債権国である日本はプラスのリターンを記録しており、米国は純債務国だがプラスのリターンを挙げている。

 対照的に中国では、大規模な対外純資産を構築したが、リターンはマイナスとなっている。この改善のためには米国債保有を中心とした投資から多様化することが求められるだろう。(ブルームバーグ Chang Shu、Yuki Masujima)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus