海外情勢

コロナ薬で虚偽の情報開示 上海証取、中国バイオテクノ企業を譴責

 中国のバイオテクノロジー企業、博瑞生物医薬が、新型コロナウイルスの治療薬として最も有力視されている米ギリアド・サイエンシズの「レムデシビル」について不正確な情報を開示したとして、3月1日に上海証券取引所から譴責(けんせき)を受けた。感染拡大の世界的パニックに乗じ、信用に値しない科学的成果により注目を集めようとする研究者や製薬会社が中国国内や世界各地で増加することが懸念されている。

 レムデシビルは、現在、新型ウイルスの発生源とされる中国・武漢とアジアの数カ国の医療機関で臨床試験が行われている段階で、世界で使用を認可している国はない。

 博瑞生物医薬は、2月12日にレムデシビルの大量生産が可能になったとして世界の注目を集めた。同月、同社株価は60%近く上げ、過去最高を記録した。

 だが上海証取によると、博瑞生物医薬はこれまでに中国の医薬品規制当局の製造認可も、特許権者のギリアドの製造ライセンスも得ていないだけでなく、大量生産のための適切な製造能力も所有していない。博瑞生物医薬の株価は3月2日、20%下げストップ安となった。

 上海証取は「博瑞生物医薬が臨床研究用の少量生産能力しか持たないにもかかわらず、商業規模の生産量を持つとするなどで『不透明で不正確な情報』を流布した」とし、さらに同社の王征野取締役会書記役についても中国メディアのインタビューに大量生産が可能と語ったことで譴責した。

 世界各国から感染の報告が相次ぐ中、治療法やワクチンの開発に関わる製薬会社や投資家が冷静さを失い、最も不可欠な科学研究に必要な人的資源を含む資源を他の研究に振り分けてしまう可能性がある。

 研究者の関心を集める臨床試験についても、登録件数が急増し被験者が不足する事態に至っており、有効な治療法の発見の遅れにつながることが憂慮されている。

 レムデシビルや米製薬大手アッヴィの抗HIV薬「アルビア(カレトラ)」から漢方や豆乳まで、中国ではコロナウイルスに対する有効性を確認するための臨床試験がこれまでに300件近く登録されている。

 世界保健機関(WHO)のブルース・エイルワード事務局長補は2月末に、中国がレムデシビルの臨床試験参加者の充当に難航していることを受け、効果が期待できるのはレムデシビルだけだとした上で、研究者に最も有望な研究を優先するよう要請した。(ブルームバーグ Dong Lyu)

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