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コロナ薬普及へ特許共有を 日本提唱でG7援助案、実現に壁

 新型コロナウイルスのワクチンや治療薬の開発・普及を見据え、特許権を国際的に共有して途上国などに安価に供給しやすくする構想が動き始めた。日本が提唱し、先進7カ国(G7)が資金援助して特許料の一部を穴埋めする案も浮上。ただ開発企業の賛同を得られるかは未知数で、実現にはなお高い壁がある。

 日本は4月、医薬品の「特許権プール」と呼ばれる仕組みを新型コロナに活用するよう提唱し、G7が検討に入った。途上国への医薬品供給を支援する国際機関「ユニットエイド」が開発企業と交渉した上で特許権を管理し、途上国に製法などを公開する。抗エイズウイルス(HIV)薬のアフリカなどへの普及で一定の成果を上げている。

 国際機関が製造ライセンスの契約や特許使用料のやりとりを仲立ちすることで、立場の弱い途上国メーカーが開発企業と直接やりとりする必要がなく特許使用料が抑えられる。有効なワクチンや治療薬が開発されれば安価で大量に供給できるようにするのが狙いだ。

 日本は延期された東京五輪・パラリンピックを来夏に控えて議論を急ぎたい考え。財務省幹部は「HIVでも開発企業がこぞって賛同したわけではない」としつつ、新型コロナ対策で「新たな枠組みを整備するよりは素早く効率的だ」とみる。

 ただ製薬業界には「一定の特許料が担保されないと次の薬が開発できない」(関係者)との懸念が根強く、構想の具体化には曲折がありそうだ。

 新型コロナでは、米ギリアド・サイエンシズの「レムデシビル」が国内初の治療薬として承認された。ワクチンの開発競争も国内外で盛んだが、普及のめどはまだ立っていない。

【用語解説】医薬品の特許

 治療薬やワクチンの開発には膨大な予算と長い時間が必要なため、特許を持つ企業は一定期間、製造や販売を独占する権利が認められている。他の企業が製造する場合などは、特許使用料を支払う必要がある。製薬各社は通常、特許期間に得られる収益を新薬の開発費などに充てている。一方で、特許で守られた薬の販売価格が高止まりし、貧しい国に行き渡りにくい問題点も指摘されている。

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