海外情勢

米政府コロナ対応に難 想定外の急落で「ドル・スマイル理論」敗北

 外国為替市場でドル相場が米国の政策担当者に「新型コロナウイルスの感染拡大をしっかり制圧せよ」と警鐘を鳴らしている。

 ブルームバーグ・ドル・スポット指数は先々週、3月に付けた過去最高値から一時10%下落。全米の新型コロナ感染拡大に歯止めがかからないかに見える最近数週間で下げが加速した。

 パンデミック(世界的大流行)の初期段階では、ウイルスが欧州各地で猛威を振るう中で、米国債など米国資産に投資家が安全な逃避先を求め、ドルは上昇した。しかし、その後急速に形勢は逆転。米国内で感染爆発が起きる現状で、無力な政府の対応がドルの重しとなり、金利と成長を何年も低く抑えかねない米経済の長期的ダメージに不安が広がっている。

 ドル急落がニューヨーク時間帯にかなり集中していることは、米国内の投資家がドルの買い持ちを手じまう動きを示唆し、ドル優位をめぐる新たな疑念に拍車を掛ける。ドルのトレーダーを過去20年導いてきた定評あるモデルもひずみが生じた。

 ユリゾンSLJキャピタルのスティーブン・ジェン最高経営責任者(CEO)は「人々が最も切望しているのは、ウイルス制圧に関する朗報だ。それが第一だと思う。通貨への投資は、主に相対的なウイルス抑制状況への投資であり、その国・地域のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の強さを反映していない」と指摘した。

 感染拡大抑制で進展のあったユーロ圏と対照的な米政府のパンデミック対応は、相対的成長率や金融政策など通貨にとってより伝統的な誘因を決定付け、今やドル相場を動かす重要な鍵と位置付けられる。

 米成長率が他の国・地域を上回るか、リスク回避の状況でドル相場が上昇すると仮定する「ドル・スマイル理論」を考案したジェン氏は、ドルが7月に2年ぶりの安値に急落するまで強気だった。「米国は困難な時期を経て落ち着くというのが私の重要な前提だったが、正しくないと分かった」と認めた。(ブルームバーグ Olivia Konotey-Ahulu、Susanne Barton)

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