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山梨、5G活用しブドウ栽培効率化 新規参入促進で人材不足解消へ

 ブドウの産地として有名な山梨県だが、栽培農家では高齢化による担い手不足に悩んでいる。このため県内の自治体や企業、大学が連携し、農作業に高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムや「スマートグラス」などの先端技術を用い、経験が浅くても高品質な栽培を可能にし、新規参入の促進など就農人口維持に取り組んでいる。

 「やっぱり屋外だと、色の見え方が違うな」。今夏、山梨県甲州市内のブドウ農園でパソコンを囲む県職員らの姿があった。1房ずつに識別コードを付け、専用の機材で撮影し、データ収集を進めていた。

 良質のブドウ栽培は農家の経験に基づくノウハウが重要だ。だが、山梨県では農業全体の就業人口が2005~15年の間で約3割減少。高齢化も進み、浮き彫りとなった技術継承問題をITで解消すべく研究を始めた。

 栽培の重要な作業の一つである、成長中のブドウの粒を出荷基準の数まで取り除く「摘粒」。基準数は種類ごとに異なり、シャインマスカットの場合35~40個。間違えると粒が密着して割れてしまい、品質を大きく左右する。新規就農者や、短期間の雇用労働者が瞬時に判断するのは難しい。

 そこで実用化に向けて動いているのは「スマートグラス」端末。眼鏡のように掛けてブドウを見れば、情報が人工知能(AI)を搭載したサーバーとの間で送受信され、取り除くべき数や場所を表示。高速5Gシステムを活用するため通信は瞬時に行われ、経験不足でも効率的に作業できる。

 他にも、栽培の初期段階に房の長さを調整する作業のサポートや、皮の色から収穫の時期を判断するといった機能も搭載する予定。経験が浅い農家が端末を使わない場合と比べて、40~55%ほどの作業時間短縮を目標とする。約2年をかけて実証し、実用化を目指す。

 県農業技術課の斉藤典義さん(55)は「日本一のブドウ産地を守るために技術の伝承は必須。就農人口の維持に役立ってほしい」と力を込めた。

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