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トランプ氏弾劾可決、バイデン政権に影 米国史の“混乱の章”続く

 米下院は13日の本会議で、トランプ大統領の罷免を求める弾劾訴追決議案を賛成多数で可決した。5人が死亡した議会議事堂乱入でトランプ氏が暴動を扇動する罪を犯したとしている。これを受け、上院で弾劾裁判が始まる見通しだが、米国史の混乱の章を終わりにし、新たなページに移行したいバイデン次期大統領の望みは、かなわなくなった。新政権発足直後の時間が弾劾に費やされるためだ。

 閣僚承認なく発足へ

 採決結果は賛成232、反対197だった。民主党議員全員のほか、下院共和党ナンバー3のチェイニー議員ら10人の共和議員が賛成票を投じた。米大統領への2度の弾劾訴追は米国史上初で、退任を20日に控えたトランプ氏の経歴に消すことのできない汚点を残すことになる。

 また、任期終了後でも上院の弾劾裁判でトランプ氏が有罪となれば、上院はその後、同氏が再出馬する権利を単純過半数で剥奪することが可能となる。

 2度目の弾劾訴追が決まったことを受け、バイデン氏のアジェンダ(政策目標)に目を向け、数十の新政権重要ポストの指名承認を行うはずだった上院は、トランプ氏の弾劾裁判の準備を進めることになる。

 上院が動くタイミングは見通せないが、マコネル共和党上院院内総務は、議員らを臨時招集し、弾劾裁判を早期に始めるよう求める要求を拒否した。このため、バイデン氏の大統領就任前に裁判の手続きが始まらないのはほぼ確実だ。

 関係者によれば、バイデン氏の顧問らは、トランプ氏に責任を取らせる必要がある点を理解しているものの、弾劾裁判は上院の時間を費やすだけでなく、政策の優先課題で超党派の作業を妨げてきた国の深刻な分断を助長することになり、バイデン氏のアジェンダが軌道に乗らなくなると懸念している。

 マコネル氏の決定に伴い、バイデン氏は閣僚の指名承認が誰一人行われず、正式に就任しない状態で、20日の新政権発足を迎える見通しだ。

 「急務の遂行望む」

 バイデン次期大統領は下院採決後、「上院指導部が米国にとって急務である他の事項に取り組みつつ、弾劾に関する憲法上の責務を遂行する道筋を見いだすよう私は望んでいる」とする声明を発表した。

 バイデン氏はその上で、「この国は引き続きウイルスの猛威と経済低迷に見舞われている。過去1年間、あまりに多くの同胞が非常に長期にわたり苦しんでおり、この急務を遅らせることはできない」と強調した。

 一方、トランプ氏は弾劾決議案の下院可決後に公表した動画で、国民に結束を呼び掛けるとともに暴力に訴えないよう求めた。下院可決には直接言及しなかった。

 こうした中、トランプ氏や同氏の家族、企業を長年にわたって顧客としてきた企業や自治体などの間にトランプ離れの動きが加速している。13日にはデブラシオ・ニューヨーク市長がニュース専門チャンネルMSNBCのインタビューで、トランプ一族が経営するトランプ・オーガニゼーションとの契約を解消することを明らかにした。

 トランプ・オーガニゼーションはNY市との間に合計1700万ドル(約17億6500万円)を超える規模の契約があり、ゴルフコースやスケートリンクといった観光アトラクションがその多くを占める。市長は、市が提訴される可能性も想定しているとしつつ、「われわれには強い法的根拠がある」と説明した。(ブルームバーグ Jennifer Epstein、Billy House)

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