海外情勢

アフリカでテロ犠牲者急増 「イスラム国」台頭、コロナで若者の過激派入り懸念

 アフリカの一部の国で、世界全体の流れに逆行しテロ被害が急増している。国際テロ組織アルカーイダの他に、中東で拠点を失い活動の場を模索するイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の関連勢力が台頭し、人道危機が深刻だ。新型コロナウイルスの影響でテロの温床となる貧困が広がりかねず、新たな懸念となっている。

 国際シンクタンクの経済平和研究所がこのほど発表した報告書によると、2019年の全世界のテロ犠牲者は1万3826人で5年連続減となった。一方、アフリカでは18年と比べ増えた国が目立つ。増加数が多い上位10カ国のうち、7カ国はアフリカの国。報告書はIS台頭を一因に挙げた。

 「襲撃から逃げたとき、ほぼお金がなかった」。簡素なテントが並ぶ南部モザンビーク・カボデルガード州の避難民キャンプで、男性が現地メディアに窮状を訴えた。同州の沖合で日本企業などが巨大ガス田開発を進める中、ISとの関係が指摘される過激派が3年前から住民を襲うようになり、男性も被害に遭った。

 経済平和研は、19年にはモザンビークの犠牲者が前年比で186人増えたと指摘。複数の欧米メディアによると20年はさらに悪化し、3年間の死者は2000人超となった。

 西部ブルキナファソやマリ、ニジェールではアルカーイダ系勢力の他にISに忠誠を誓う組織も現れ、襲撃が相次ぐ。ブルキナファソの19年の犠牲者数は前年比507人増で、増加数は世界最多。20年も治安は改善せず、国連は10月、3カ国の避難民が2年前の20倍となる160万人に達し、約740万人が食糧難に直面していると発表した。

 この状況にコロナ禍が追い打ちをかけるのは必至だ。失業した若者が報酬目当てに過激派に入る恐れが高まり、経済平和研は「テロ対策を妨げる可能性がある」と指摘。コロナ対応による日米欧の財政逼迫(ひっぱく)で国際社会の支援環境が悪化していることも懸念材料で「21年の展望は暗い」(英国の危機管理コンサル)との見方が出ている。(ナイロビ 共同)

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