海外情勢

トランプ氏、逆風の実業界復帰も侮れぬ影響力 退任後への注目度も「異端」

 バイデン次期米大統領が20日正午(日本時間21日未明)に就任するのに伴いトランプ大統領が4年の任期を終え退任する。連邦議会議事堂乱入事件を扇動したとして批判を浴びる中、実業家としての活動には強い逆風が吹く一方、全米になお熱狂的支持者を抱えるなど政治的影響力は根強く、同氏が一市民としてどのような道を歩むのか大きな関心が寄せられている。

 歴代大統領の大半は任期満了後、ゴルフや蔵書の整理、高額な講演、さらにもうかる回顧録の執筆にいそしみ、後任大統領の政権運営には口を慎んできた。しかし、在任期間中に大統領の行動規範に決して従うことがなかったトランプ氏は、ゴルフを除けば全く異なる道を歩みそうだ。

 トランプ氏は早くから20日のバイデン氏の大統領就任式を欠席すると表明。前任者の欠席は1869年のアンドルー・ジョンソン氏以来だ。しかし、トランプ氏が次に何をするかは明らかになっていない。フロリダ州に所有する高級リゾート「マールアラーゴ」に引っ越すつもりだと本人は語っているが、パームビーチの隣人の一部はトランプ氏の永住に反対しており、どこに住むかもはっきりしない。

 法廷闘争忙殺も

 ただ、歴史的な2度目の弾劾訴追を含め、支持者に議会議事堂に向かうよう促した今月6日の演説がもたらす結果によって、トランプ氏の取り得る選択肢は、少なくとも短期的には制限される見込みだ。上院の弾劾裁判でトランプ氏が有罪になれば、再出馬する資格が剥奪されるのはほぼ確実だ。

 「コーポレート・アメリカ(米経済界)」の一部もトランプ氏から距離を置き、ソーシャルメディアのアカウントは停止され、一部の金融サービスなども打ち切られた。何千万の米国民からの非難が今後も続き、トランプ氏の不動産、ホテル、ゴルフリゾート帝国の将来に悪影響を及ぼすと予想される。

 だがその一方で、別の何千万という米国民がトランプ氏にとって息の長い支持基盤を形成し、再び大統領を目指すかどうかにかかわらず、今後も政治勢力としての同氏の存在を支える可能性が高い。

 トランプ氏はツイッターのアカウントなどを失ったため、忠実なフォロワーを結集し、場合によってそこから利益を得る新たな手段を考える必要があるだろう。主流メディアからは締め出されることになりそうだが、保守層に的を絞り、FOXニュースに対抗するネットワークや、ツイッターと競合するソーシャルメディアサイトを新たに立ち上げることもあり得るだろう。

 しかしこれもトランプ氏が法廷闘争に忙殺されないことが前提となる。議事堂乱入事件が起きる前の段階でも、同氏を相手取り幾つかの民事訴訟が提起されており、刑事捜査の可能性にも直面していた。

 それでもトランプ氏は侮れない存在だ。ニュージャージー州アトランティックシティーのカジノ帝国が1990年代に破綻し、評判が地に落ちたが、10年後にリアリティー番組「アプレンティス」で力強い復活を果たした。

 番組の視聴率が落ち始めると、バラク・オバマ氏が米国の外で生まれ、大統領になる資格がないと主張する「バーセリズム」運動に賛同して右派の視聴者を呼び込み、大統領当選への足掛かりを得るしたたかさを見せた。

 平均支持率歴代最低

 米ギャラップが18日公表した世論調査結果によると、トランプ氏の支持率は34%に低下。退任間際のジョージ・W・ブッシュ氏、ジミー・カーター氏と並んだ。任期中の平均支持率は41.1%と、トルーマン氏を4ポイント下回り、ギャラップが調査した歴代大統領で最低となった。(ブルームバーグ Tina Davis)

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