海外情勢

コンテナ不足で海上運賃が暴騰 アジア発の供給混乱が世界景気に逆風 (1/2ページ)

 新型コロナウイルスを起因とするサプライチェーン(供給網)の混乱が、世界経済への新たな逆風となっている。アジア各国で深刻化する輸送用コンテナ不足を背景に海上運賃が暴騰しており、長引く感染拡大で疲弊する企業はさらなる苦戦を強いられている。

 余儀なく自動車減産

 新型コロナ禍の経済活動制限に伴い、旺盛な需要に対して物流が対応しきれない状況が続いている。新型コロナの流行初期はペーパータオルやテレワーク関連製品などの消費財の不足が目立ったが、今度は自動車産業で部品不足が深刻化している。

 ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は同国の世界最大規模の自動車工場での減産を迫られ、供給上の制約が世界に広がる可能性があると警告した。一方、ホンダも半導体の調達難に伴い、米国とカナダの5工場で減産を実施する。

 野村ホールディングスのマクロリサーチ部門グローバル責任者を務めるロブ・サブバラマン氏は「供給上の制約は配送が遅れている欧米で特に顕著になっているようだ。この状況は欧米の鉱工業生産にとってマイナスであり、在庫の急減や産出価格の上昇につながるだろう」と指摘する。

 状況の悪化に拍車をかけているのが、中国や台湾、韓国などのアジア港湾における輸送用コンテナの不足だ。国際物流の米フレックスポートのグローバル・オーシャン担当副社長を務めるネリウス・ポシュクス氏の試算によると、足元の需要を満たすために世界で50万個以上の20フィートコンテナが追加で必要になる見通しだ。こうした中、太平洋航路におけるコンテナ船の標準運賃は1年前の4倍の水準に跳ね上がっている。

 アジア発北米航路が活況に沸く一方、米国などでコンテナが滞留している点も影響している。アジアでのコンテナ不足は今や世界の景気回復のブレーキとなりかねない脅威となっている。

 理由はこの影響がサプライチェーンのみにとどまらず、企業収益にまで波及しているためだ。企業は生産削減を余儀なくされるほか、代金が支払われない商品を抱え込み、在庫やキャッシュフロー(現金収支)面で大きな打撃を受けている。一部の工場は混乱が解消するまで新規の受注を検討できないと不満を漏らす。

 「こんなことは今までで初めてだ」。そう嘆くのは、香港を拠点とする教育玩具・娯楽用品を手掛けるプライム・サクセス・エンタープライズの取締役を務めるシドニー・ユー氏だ。ユー氏は欧州への出荷のため、広東省深セン市の塩田港でコンテナを2個予約したが、後になってコンテナは1つしか利用できないと断られた。

 ユー氏によると、以前の太平洋航路のコンテナ運賃は2000ドル(約20万9500円)だったが、現在は2月中旬の春節(旧正月)を前にした駆け込み需要で、最大1万3000ドルと見積もられている。

 消費者転嫁も選択肢

 海運アナリストは旺盛な荷動きが3月まで続くと予想する。この結果、運賃の上昇がコンテナ船会社との年間契約に組み込まれ、消費者や企業にとっての長期的なコスト高になる可能性がある。

 S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのサプライチェーン分析グループ、パンジバの主席貿易アナリスト、クリス・ロジャーズ氏は「足元の混乱が解消したとしても、コンテナ運賃の高騰は年末まで織り込まれる可能性がある。輸送コストの上昇に伴い、企業は利益の圧縮によって上昇分を吸収するか、消費者に転嫁しなければならないだろう」と話す。

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