海外情勢

ユーロ圏は「W字型の景気後退」か コロナ制限で年初から経済再収縮へ

 ユーロ圏経済は今年、出だしから再び経済収縮に見舞われそうだ。多数の銀行が新型コロナウイルスの感染再燃とそれに伴う制限措置を理由に、1~3月期の域内成長見通しを引き下げ、総じてマイナス成長を予想。W字型の景気後退に陥ると見込んでいる。

 市場見通し下方修正

 JPモルガン・チェースやUBSなど欧米金融大手のアナリストらは、一部地域でこれまで以上に厳しいロックダウン(都市封鎖)が再び実施されていることや、英国が大打撃を受けている新型コロナの変異種が欧州大陸に同様の影響を与えるとの見通しを理由に、経済見通しを下方修正している。

 英国の欧州連合(EU)離脱による貿易の混乱にワクチン接種の後れが加わり、2四半期連続で国内総生産(GDP)が落ち込むのは確実なようだ。仮に大幅なマイナス成長にならなかったとしても、2020年年初の景気後退時と同様、負債を抱えた各国政府や欧州中央銀行(ECB)への圧力が高まるだろう。

 週間統計などによると、クリスマス休暇明けの今年第1週には人々が仕事に戻るのに伴いユーロ圏の経済活動が上向いたものの、1年前に比べるとはるかに低い水準で、長続きしないとみられている。

 ドイツの保険大手アリアンツのシニアエコノミスト、カタリナ・ウテルモール氏は「ロックダウンとワクチン接種の後れが経済成長の足手まといになっている。最初は軽度だった制限が長引き、より大きな問題になっている」と指摘する。

 ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は現在、新型コロナ封じ込め策による制限が長引いた場合の「悲観的」想定に基づき、1~3月期のユーロ圏経済が約4%収縮するとみている。以前は1.3%成長を予想していた。

 JPモルガンは同期の成長率予想を従来のプラス2%からマイナス1%に引き下げた。

 UBSは同期の成長率を2.4%成長と予想していたが、0.4%の落ち込みに修正した。米ゴールドマン・サックスは「不透明感と一段の下振れリスク」を理由に、わずかながらマイナス成長になると予想する。

 4~6月に回復期待

 英国のEU離脱もユーロ圏経済に影響を及ぼしている。オランダのINGグループは新型コロナによる混乱に加え、英国との自由貿易協定(FTA)交渉が決裂して合意なき離脱に突入する可能性から、昨年末にユーロ圏企業が英国向けに駆け込み出荷を行ったため、輸出が再び低調になる可能性があると分析。4~6月期も「ゼロ成長がせいいっぱい」と予想、域内経済は23年に入りしばらくはパンデミック(世界的大流行)前の水準に戻らないという。チーフエコノミストのピーター・バンデン・ハウテ氏はリポートで「21年は出だしでつまずいている。ワクチン接種キャンペーンは遅れ、時折混沌(こんとん)としている」と指摘する。

 とはいえ、エコノミストの大半は1年余りに及ぶ悲惨な状況から今年の4~6月期にはついに回復に向かうと予想している。ワクチン接種が進み、制限が緩和され、感染状況が落ち着けば、少なくとも最初は急回復が見込まれる。

 UBSのエコノミスト、ラインハルト・クルース氏はリポートで「所得支援から需要喚起への移行に伴い、各国政府が回復を支えるための継続的な支援策を提供するだろう。来年にかけ金融政策による支援が続くのは確実だ」と強調した。(ブルームバーグ Paul Gordon、Alexander Weber)

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