海外情勢

半導体装置を中国が爆買い 日本などから昨年20%増、米規制強化に対応

 中国が日本などから半導体製造装置を大量に購入していることが、ブルームバーグの集計で明らかになった。ハイテク分野の覇権争いで米国が半導体の対中輸出規制を強化していることに対応したものとみられる。

 短期的に輸入頼み

 貿易統計を基にしたブルームバーグの分析によると、中国企業が2020年に日本や韓国、台湾などから購入した半導体製造装置は前年比約20%増の約320億ドル(約3兆3600億円)に達した。

 また、華為技術(ファーウェイ)など複数企業が米国の制裁発動前に半導体を駆け込み購入し、在庫を増やしたことから、20年の半導体輸入は約14%増の3800億ドルとなり、中国の全輸入に占める比率は約18%に上った。

 米政府が中国企業への技術供与の規制を徐々に強める中、中国政府は、成長の足取りが鈍かった国内の半導体産業育成に全力を挙げている。トランプ前政権による数々の措置はこの重要部門における中国の脆弱(ぜいじゃく)性を露呈した。バイデン政権発足後も、中国政府は半導体の自給自足体制を目指し、内需拡大を基本として世界経済とも連携する「双循環」戦略を推進している。

 調査会社ギャブカル・ドラゴノミクスのハイテク部門のアナリスト、ダン・ワン氏は「短期的に中国は輸入に頼って半導体の製造を進めていく。中国には必要とされる高度な半導体製造装置をつくる能力がまだない。多額の投資を行っているが、成功するには10年以上の時間がかかるだろう」と指摘した。

 中芯国際集成電路製造(SMIC)など中国半導体各社は半導体製造装置の購入を拡大している。国際半導体製造装置材料協会(SEMI)の昨年12月のリポートによれば、中国は20年に世界最大の半導体製造装置市場となった。

 中国の半導体需要急増で最大級の勝ち組は台湾だ。半導体受託生産世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)などの受注が急増し、20年の台湾経済成長率は2.98%と約30年ぶりに中国を上回った。中国は2.3%成長だった。

 米半導体工業会(SIA)は需要増加が続くとみており、今年の世界半導体売り上げの増加率を8.4%と予測している。TSMCや米インテル、韓国のサムスン電子などが需要拡大の恩恵を受けそうだ。

 国産化加速へ投資

 半導体の国産化を進める中国勢は、東京エレクトロンやオランダのASMLホールディングからの半導体製造装置購入を続けるとみられている。

 米フォレスター・リサーチのハイテク部門アナリスト、チャーリー・ダイ氏は「中国は(複数の半導体の機能を組み合わせた)チップセットの輸入で、よりバランスの取れた対策を講じるのではないか。差し当たっては国内で製造できない高度なものを海外の供給業者から調達し、その国産化を加速するために戦略的な投資も行うだろう。要は地政学的な変化に対応しているのだ」と分析する。

 中国の半導体需要急増で莫大(ばくだい)な利益を上げているハイテク各社の活況が続くかどうかは、中国半導体産業の成長しだいだ。

 中国政府は技術育成を国家戦略目標に掲げ、国産半導体で海外への依存度を引き下げることを目指している。3月に開催する第13期全国人民代表会議(全人代)第4回会議で、21~25年の「第14次5カ年計画」の詳細を公表する。(Bloomberg News)

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