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なぜ日本人は巣ごもりすると「永谷園のお茶づけ」を無性に食べたくなるのか (1/2ページ)

 外出自粛期間が長引くなか、お茶漬け商品が人気だ。永谷園の「お茶づけ」シリーズは対前年比で約120%と大きく伸びた。約70年もの間支持される理由はどこにあるのか。経済ジャーナリストの高井尚之氏が迫った--。

 巣ごもり需要で伸びたお茶漬け

 新型コロナウイルスが日本の生活に影響を与えるようになってから、1年近くになる。

 外出自粛や在宅勤務など、緊張感を強いられる暮らしの中、メディアは「コロナで売れた商品・売れなくなった商品」も報じてきた。すでにご存じだろうが、マスクや消毒剤などが売れた一方で、通勤の減少、マスク着用の増加から、口紅など化粧品が売れなくなった。

 さらに自宅近くで買い物する機会が増え、食品の売れゆきは総じて好調だ。

 今回はその中で「お茶漬け」に注目したい。日本の食生活のうち、ふりかけとお茶漬けは“ごはん”があれば食べられる簡単・便利な商品だ。筆者は昨年、別のメディアでふりかけも記事にしたが、お茶漬けはふりかけに比べてコロナ禍の影響が少ない商品だ。

 巣ごもりが続く消費者は、どんな理由でお茶漬けに手を伸ばすのか。市場で圧倒的なシェアを占める「永谷園」に話を聞きながら考えてみた。

 「お茶づけ」シリーズは対前年比で約120%に

 「お茶漬けの市場は、現在約170億円の規模となっています。ここ数年、市場は横ばい傾向でしたが、コロナ禍で昨年3月からの保育園の登園自粛、学校の休校措置、企業におけるテレワークの推進などによる内食傾向から需要が増え、昨年度は市場全体で微増となりました」

 ※日本食糧新聞社調べ

 広報室長の石井智子氏(永谷園ホールディングス広報部)はこう説明する。

 日本食糧新聞社の調査では「ふりかけ市場」は約380億円で、お茶漬け市場の2倍以上の規模だ。在宅での食事が増えたのは、ふりかけにも追い風だったが、向かい風もあった。

 ふりかけを使うシーンには、弁当やおにぎりなどもある。その機会が減ったのだ。

 コロナ禍の外出自粛でゴールデンウイークや夏休みなどの行楽需要が減り、子どもの運動会や遠足などのイベントも中止となった。職場に手づくり弁当を持参していた人も、在宅勤務では作る必要がない。それもあって、ふりかけ市場全体は微増となっている。

 一方、お茶漬け(永谷園の商品名は「お茶づけ」)は弁当との関連性は薄い。特に永谷園の「お茶づけ」商品は大きく伸びたという。

 「昨年11月に発表した『2021年3月期・第2四半期決算』では、対前年比で約120%でした。当社でも施策を打ち、それが功を奏した一面もありますが、巣ごもり生活の中、手軽に食べられる商品として、お茶づけが選ばれていると考えています」(石井氏)

 「手軽で時短」朝食にお茶づけを訴求

 もちろん、受け身の姿勢ではなく、メーカーとしての訴求も続ける。

 昨年8月、永谷園は子どもの朝ごはんとして「めざまし茶づけ」の提案を始めた。

 「小学生のお子さんの朝ごはんに、手軽で短い時間で食べられるお茶づけを推奨する企画です。きちんと朝食を食べることで、朝から3つのスイッチ=あたまのスイッチ、おなかのスイッチ、からだのスイッチが入るからです」

 大人でも朝食を食べない人は目立つ。農林水産省の調査では、特に「20代から30代の男性の約30%は朝食ぬき」だという。同省は朝食をとることの大切さも啓発している。

 お茶漬けを食べるシーンで、これまで朝はあまり想定できなかったが、意識の転換にもなりそうだ。緊急事態宣言で夜の営業時間が短縮された飲食店の中には「朝ラーメン」を提唱して人気を呼ぶケースもある。

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